夜勤専従看護師が知っておきたい夜勤関連の法律
「夜勤専従看護師」とは、夜勤シフトを専門にして働く看護師のことです。変速シフトではないので夜勤ではありますが生活リズムが一定していることや、日勤よりも給料が高いことから希望して夜勤専従看護師として働く人も少なくありません。
しかし、求人情報に提示されていた勤務時間や日数を超過して働かなければならないといったことが起こりやすく、体を壊して辞めざる負えなくなる看護師もいます。
そういったことにならないためにも、働いていて「おかしい」と感じたら、すぐに労働基準法と照らし合わせることができるような、法律の知識を持っておくと便利です。
ここでは、夜勤専従看護師が最低限知っておきたい労働における法律について解説しています。
夜勤専従看護師が知っておくべき労働基準法
変則労働時間制とは?
「変速労働時間制」とは、日勤のみの労働者とは別に設けられた法律です。労働基準法では、1日の労働時間を「8時間」と定めていることは広くられていますね。
けれど24時間体制で勤務しなければならない看護師の場合、この法律を当てはめることができないため、こうした特殊な働き方をしている労働者に対しては「変速労働時間制」という法律が設けられています。
変速労働時間制は、その働き方によって設定が変わってきますが、契約時に決めた月、または週の労働時間を守れば、1日8時間労働でなくても法律違反にはならない、というものです。
それに加えて夜勤専従看護師の場合は、厚生労働省が月の労働時間が休憩を含めて144時間以内でなければならないと定めています。
ただ、30前後の残業であれば問題視されることはないようです。
変速労働時間制に則った夜勤回数は?
「変速労働時間制」について先に触れましたが、月144時間の労働時間と夜勤における拘束時間を計算してみると、夜勤専従看護師の場合は月に9回までの夜勤が上限であると考えられます。
月に10回以上夜勤に入っている人で、体調不良や契約における不満を抱いている人は、冗長などに相談する権利があります。
月何回夜勤に入っていますか?
労働基準法などの法律において、「夜勤は月○回まで」という明確な回数が定められているわけではありません。
しかし、1965年に「人事院」が提案した「2-8判定」では、「3交替制勤務の場合、夜勤の人員を2名、回数は月8回まで」を基本とするよう文章にまとめられています。
残念ながらこの2-8判定がきちんと守られているかというとそうではなく、全体の半数以上が月9回以上の夜勤に入っているというデータもあるようです。
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日本看護協会で検討されている夜勤でのルールとは?
夜勤での拘束時間について
日勤を含めた交替制で勤務する看護師の場合、2交替制だと拘束時間が16時間になってしまいます。
しかし、16時間も続けて働くことは健康を損なう恐れがありますし、集中力が途切れて医療ミスなどを引き起こしてしまいかねません。このため、夜勤での労働時間は13時間以内にしようという提案がなされています。
これは労働基準法で定められているわけではなく、日本看護協会で提案されて事項となりますが、まだその体制は整っていないようで、今後の課題となっています。
連続勤務は2回まで
人間の体は朝起きて日中に活動し、夜眠るというリズムで生活するようになっています。 しかし、2日以上昼夜が逆転した生活をしてしまうと、体のリズム自体が夜型になり、健康を害する原因となるのです。
このため、夜勤の連続勤務は2回までとし、昼夜の逆転を防ぐことができるように考慮しています。
また、2連続で夜勤に入った際には、その後必ず48時間以上の休日などの休息時間を与えること、1回の夜勤であれば24時間以上のお休みを与えることも、日本看護協会で定められたルールです。
休憩時間について
夜勤における休憩時間についても、細かいルールが定められています。夜勤途中には必ず1時間以上の休憩時間を与えること、また連続した仮眠時間を与えることとされており、2時間以上の仮眠時間を設定するのがルールです。
実際にきちんと仮眠時間が設けられていても、急患などで仮眠を取れないこともあるようなので、この点においては看護師同士でサポートし合うことが必要となります。
ちなみに、夜勤中に急患などにより与えられた休憩時間に休憩を取れなかった場合は、その時間を「時間外勤務」として手当を支給しなければなません。
もちろん、夜勤なので深夜手当を付与した時間外手当てです。意外と知らない看護師も多いかもしれませんので、覚えておくとよいと思います。
もしかして労働基準法違反?こんな時どうすれば良いの?
有給休暇がない
特にクリニックなどの小規模な医療施設で働く看護師に多いのが、「有給休暇をもらえない」という悩みです。
正社員で雇用されていても、「小さい企業だから有給休暇は認められない」という院長の一言で有給休暇を付与されないというものですが、有給休暇は正社員でもアルバイトでも、すべての労働者が必ず得ることができる権利になります。
半年以上働いた労働者には10日間、1年半働けば11日間、それ以上働けば働いた日数に応じて付与されますので、有給休暇を認めていないクリニックは労働基準法に違反しているということになります。
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訴えを起こすことは可能だが、リスクを伴う覚悟が必要
ほかにも、残業が支払われないなど労働基準法に違反した運営をしている医療施設はかなりあるようですが、これらは明らかに労働基準法に違反していますので、労働基準監督署に訴えを起こし、医療施設に指導してもらうことが可能です。
これまで多くの看護師が、こうした労働条件の悪さに泣き寝入りしていましたが、最近は声を上げて労働環境を改善しようと動く人も増えてきました。
しかし、仮に労働基準監督署に訴えて職場に指導が入ったとしても、その後院長を始めとする運営陣から冷ややかな目で見られることは確かですし、場合によってはパワハラなどを受ける可能性もあります。
労働環境が改善されたとしても、さらに働きにくい職場になってしまう可能性がありますので、もし動きを起こすのであれば、リスクがあることを覚悟しておかなければならないでしょう。
こうしたリスクを考えて、実際には看護師が職場に訴えを起こすということは少なく、より労働環境が整った職場に転職をするという人が多いようです。
まとめ
- 夜勤のある看護師には「変速労働時間制」という法律がある
- 変速労働時間制を加味すると、月の夜勤回数は9回程度となる
- ほかにも、休憩時間や仮眠時間などについて日本看護協会がルールを定めている
- 労基が守られていない職場に訴えを起こすことも可能だが、リスクがある
- 訴えを起こすよりも、環境のよい職場に転職をする看護師が多い
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